テクニカルインフォメーション
薄膜型白金測温抵抗体素子
アプリケーションでの留意事項
- はじめに
- 多くの意味で温度測定は製品の品質、保障、信頼を決める物理的パラメータです。
温度センサは特殊利用条件を満たすための個々の技術で製造されます。この点において IST は最新の薄膜温度センサを作るための開発、製造工程、材料に注力しています。このノウハウの一部は非常に小さい寸法のセンサを作るうえで IST 独自の半導体製造工程から導き出されます。薄膜温度センサは低い熱質量のため非常に早い応答性を示します。 この IST の薄膜センサの技術と工程はすべての温度域での従来のセンサの精度・長期安定性・再現性や互換性への良い特性を生み出します。
薄膜を大量に作ることによる利点は最適な価格と品質とのバランスを生み出します。 - 構造
- 温度センサはセラミック基板上にフォトグラフィー(写真平板)技術で高純度白金膜層を形成します。抵抗値はレーザ トリミングで最終値を正確に調整されます。回路面は機械的、化学的ダメージから保護ガラス膜を覆うことで保護され ています。リード線溶接部は付加固定層で覆われています。
- 公称抵抗値と温度係数
- センサの公称値は 0℃の値で決まります。
温度係数α(TCR)は以下のように決定されます。
一般的に単位は ppm/K です。
これは温度係数 3850 ppm/K1).の場合です。
R0 = 0 °C での抵抗値
R100 = 100 °C での抵抗値
- 長期安定性
- 750℃までのすべてのタイプのセンサのドリフトは 1000 時間耐久後で 0.04%以内です。
- 温度特性カーブ
- 電気抵抗値と温度の関係で特性カーブは決まります。
R(t) = R0 (1 + A x t + B x t2) 0 °C ~ 850°C
R(t) = R0 (1 + A x t + B x t2 + C x [t-100] x t3) -200 °C ~ 0 °CPlatinum (3850 ppm/K): Platinum (3911 ppm/K): Platinum (3750 ppm/K): Platinum (3770 ppm/K): A A = 3.9083 x 10-3 [°C-1]; PA = 3.9692 x 10-3 [°C-1]; A = 3.8102 x 10-3 [°C-1]; A = 3.8285 x 10-3 [°C-1]; B B = -5.775 x 10-7 [°C-2]; B = -5.829 x 10-7 [°C-2]; B = -6.01888 x 10-7[°C-2]; B = -5.85 x 10-7 [°C-2]; C C = -4.183 x 10-12 [°C-4] C = -4.3303 x 10-12 [°C-4] C = -6 x 10-12 [°C-4]
t = 温度 ITS 90 に準じる - 許容クラス DIN EN 60751 規格
温度センサは DIN EN 60751, 2009-05.規格に準じますClass +/- deviations in °C IST AG reference Temperature range of validity DIN EN 60751 F 0.1 0.10 + 0.0017 x |t| Y -50 °C to +150 °C DIN EN 60751 F 0.15 DIN 0.15 + 0.002 x |t| A -90 °C to +300 °C EN 60751 F 0.3 DIN EN 0.30 + 0.005 x |t| B -200 °C to +600 °C 60751 F 0.6 0.60 + 0.01 x |t| C -200 °C to +850 °C 1/5 DIN EN 60751 F 0.3 0.06 + 0.001 x |t| K 要求に応じ 1/10 DIN EN 60751 F 0.3 0.03 + 0.0005 x |t| K 要求に応じ
温度カーブは DIN EN 60751 基準に準じます。表内の値は情報目的のみのためです。組立方法や個々の測定条件により 精度・自己発熱と応答性は異なります。
抵抗値調整はリード線の基板側から 5mm 位置です。20mm 以上の延長リードの抵抗値はチップ端の正しい抵抗値で室 温で測定し補償されます。
- 測定電流値
- 測定回路電流は仕様を決め自己発熱に影響します。素子からの熱移動により実際の電流値は大きくできます。
素子単体(裸体)での推奨回路電流は以下の通りです。750℃~1000℃のセンサは 1mA を超えないようお願いします。
推奨測定回路電流値:100 Ω 500 Ω 1000 Ω 2000 Ω 10000 Ω 1 mA 0.5 mA 0.3 mA 0.2 mA 0.1 mA - 自己発熱
- 電流は自己発熱を起し結果的に測定誤差となります。誤差を最小限にするためにはできるだけ電流を小さくする必要が
あります。測定誤差は温度エラーによる自己発熱に起因します。
Δt = R x I2 / E.
E = self-heating coefficient in mW/K, R = resistance in kΩ, I = measuring current in mA - 応答性
- 応答時間は温度変化を検知した秒数で決まります。時定数 63 は温度変化が最大値の 63%に達した秒数です。 応答時間はセンサの大きさ使用材料の種類に影響されます。
*自己発熱 Δt[mK]は、Pt100 を0℃で 1mA で測定した。
L: 素子長さ (リード線含まず)
W: 素子幅
T: 素子厚み (接続部含まず)
H: 素子高さ (接続部および張力緩和含む)
- 寸法公差
-
素子幅 (W) +/- 0.2 mm
素子長さ (L) +/- 0.2 mm
素子高さ (H) +/- 0.3 mm
素子厚み (T) +/- 0.1 mm
リード線長さ +/-1 mm (5-30 mm)
リード線長さ >30 mm, 公差は要求通り
- センサ構造図例
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リード線タイプ
扁平リード線タイプ
フリップチップタイプと表面実装タイプ
極小タイプと細型タイプ
長尺リード線タイプ、絶縁リード線タイプ、絶縁標準リード線タイプ
逆方向リード線タイプと垂直リード線タイプ
円筒セラミックハウジングタイプ